これからは『オムニチャネルリクルーティング』が必要になる
「ソーシャルメディアで採用する」
「採用にも広報が求められる時代」
「採用では候補者体験が大事だ!」
などなど、様々なマーケティングの知見が採用に転用されてきました。
それらを総称した採用マーケティングという言葉も比較的浸透してきました。2019年に公開されたwantedlyさんのこのスライドが、大きなきっかけになっているような気がします。
ということは・・・マーケティングのトレンドを追っていくことで今後の採用トレンドが何になるのか予測できそうな気がしませんか?(私だけでしょうか)
そこで、改めて注目したいのがオムニチャネルというキーワードです。
オムニチャネルとは、消費者が実店舗・オンラインショップ・カタログ通販・SNS等のあらゆる接点で、メディアを活用して顧客と接点を作り、購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略のことを指します。
DENTSU MACROMILL INSIGHTより引用
マーケティング界隈の皆様からすれば今更感のあるオムニチャネルですが、採用にしっかりと活かせている事例はほとんどない気がします。
そこで、オムニチャネルリクルーティングという言葉を勝手につくり、もっと多くの方に重要性を理解してもらおうと企んで書いたのがこの記事です。
オムニチャネルが採用に重要であるという考え方自体は、実はパーソルさんのこちらの記事にもあるとおり、けっこう前からありました。
でも、オムニチャネルを採用に活かせてる会社にはほとんどお目に掛かったことがありません。もし、自社でオムニチャネルを活用していきたいと考えていらっしゃる方は、この記事が少しでも参考になればうれしいです。
オムニチャネルリクルーティングは本当に必要か?
まあ、必要だからわざわざ記事を書いてるわけなんですけど、必要だと考える理由は2つあります。
理由①仕事探しの方法の多様化
冒頭の採用マーケティングの他、オウンドメディアリクルーティング、Indeed、転職クチコミサイト、リファラル採用などなど・・・
様々な採用手法や採用メディアがありますよね。そうなると、
「リクナビに掲載すればOK」
「Indeedに掲載すればOK」
というわけにはいかず、自然とチャネルが増えていきます。
理由②求職者の価値観の多様化
コロナ禍による在宅・リモートワーク、副業・複業、フリーランスやギグワーク、ダイバーシティ、SDGs、LGBTなどなど・・・
求職者側の働き方やキャリア、仕事選びの基準も変わってきました。より多くの求職者に自社のことを広報しようとすると、自然とチャネルも増えていきますよね。
結論、これからの採用にはオムニチャネルが必要です!
(予算や人員にも限りがあるし、これ以上チャネル増やすの無理…)
→わかります。でも無料でできる手法や効率化できるツールもあります!
(全ての求職者に合わせていたら採用業務がめちゃくちゃ大変…)
→求職者に合わせた方が採用効率が上がるケースも多いです!
(今のままでも、そこそこ上手く採用できているんだけどな…)
→今の手法、メディアが今後も同じ成果が期待できるとは限りません!
(うん、もう少し余裕が出てきてからまた考えてみようかな…)
→採用において、この先余裕が出ることはあるんでしょうか…
そうです。採用市場のトレンドは、否応なしにオムニチャネルを迫ってくるわけであります。
もう観念してオムニチャネルリクルーティングしましょう!
オムニチャネルリクルーティングする上で大切な考え方
もちろん、オムニチャネルといっても、ただアチコチで求人すれば良いというものではありません。まず最初に、今までの採用との考え方の違いを確認してみましょう。
今までの採用の考え方では、
短期的な採用ニーズの充足だけが目的
採用ニーズが発生した時に求人を掲載
求人効果のありそうな媒体を選定する
基本的には求人原稿の形式で制作する
応募数が多く集まりそうな内容で掲載
広告費と応募、応募単価をメイン指標
といった感じですが、オムニチャネルリクルーティングでは
長期的に自社の採用資産を積み上げる
働く可能性のある人と常に接点を持つ
可能な限り数多くの媒体に掲載をする
あらゆる形式のコンテンツを用意する
自社の価値観に合った内容を発信する
採用率や入社後の戦力化・活躍が指標
こういったスタンスが重要となってくると考えています。
その上で最終的に、目指すのは…
求職者が見る可能性のあるチャネルに自社情報が掲載されている状態
さらに、
それぞれのチャネルから自社の適切なページに導線をつくること
イメージにするとこんな感じです
もっと言うと、チャネルごとに様々な価値観を持つ方が応募してくるでしょうから
選考方法も含めてオムニチャネルな採用プロセスが構築されている状態
が最終形態となるかもしれませんね。
オムニチャネルリクルーティングが実現するとどうなるか?
これは、ちょっと古いデータなんですけど、Googleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクスの時のデータです)で、某企業さんの応募経路を測定したものです。
これを見ていただくと、多くの求職者がCPC広告(多くはIndeedや求人ボックス)、そしてorganic(ほぼGoogle検索)、SNSなど複数のチャネルを経由して応募に至っていることがわかります。
もちろん、ほとんどの会社さんは、こんなに何百件も応募を集める必要はないと思います。ただ、多くの求職者が複数のメディアを見た上で応募に至っている実績があるよ、ということをお伝えしたかったわけです。
オムニチャネルリクルーティングから採用ブランディングへ
様々なチャネルを通じて自社の採用コンテンツを発信していく際に気をつけたいことが1つあります。
いや、本当はもっと色々あるんですけど、絶対に意識して欲しいことを1つだけお伝えします。
それは、
チャネルと候補者との接点に”自社らしさ”と”一貫性”があるか?
オムニチャネルリクルーティングを進めていくと、当然のことながら求職者は色々なチャネルで御社の発信を見ることになります。もし、Aというチャネルで見た発信と、Bという別のチャネルで見た発信で、打ち出し方が違っていたら…
(この会社って他社と同じような内容ばっかり投稿してるな…パクリ?)
(投稿されてる情報に一貫性がないから信頼できない会社に違いない!)
と、不信感を抱く可能性があります。
せっかく多くのチャネルを通じて自社のことを知ってもらったのに、むしろ自社の評判を落とし採用にマイナスな影響が出てしまうなんてもったいないですよね。
たとえ、チャネルや発信されている内容が違っていても、
(あっ!これはあの会社っぽいな)
と感じてもらえる”自社らしさ”が込められていれば、それらが積み重なって自社の採用ブランドがより強固なものになっていくでしょう。
1つ1つのチャネルの影響力は少ないかもしれませんが、インクのシミがじわじわと染み込むように求職者の記憶に刻まれていく。接点と接点をつないでいくことで、自社の採用ブランドが広がっていくイメージです。
せっかく多くのチャネルを通して発信するなら、短期的に採用の間口を広げるだけではなく、長期的に資産となるような取り組みにしていける方が良いですよね?
そんな事も意識しながら、オムニチャネルリクルーティングに取り組んでみてはいかがでしょうか?