【採用だけじゃない】人手不足の4つの要因と5つの解決策
「人手不足なので、採用を強化したい」
というご相談に対してお応えするのがわれわれ人材会社の役目です。その人材会社が、「採用だけじゃない」と自分たちを否定するようなことを言うなんて。。。
と違和感をおぼえる方もいらっしゃるかもしれません。
もしかしたら、人事採用担当のみなさんは現場やトップから
「とにかく人が足りないから採用してくれ!」
と言われて日々プレッシャーを感じているかもしれません。ただ、こちらを御覧ください。
ご存知のとおり、少子高齢化の日本では労働人口は確実に減少していきます。当然、採用も難しくなっていくわけですから、今採用できていない企業さんはますます採用が厳しくなります。
ほとんどの企業は、「人手不足」という問題にこれからずっと向き合っていかなければなりません。考えるだけでも頭が痛くなりますね。
人手不足の解決策を考える前に、まずは敵を知る必要があります。なぜ人手不足は起こるのか?その要因から考えてみましょう。
人手不足が生じる4つの要因
まず当たり前のことですが、人手不足ということは【必要仕事量>作業可能量】ということです。
では、なぜそのようなことが生じているのでしょうか?
①時期的要因
たとえば、ワクチン接種のコールセンターの需要で数百人規模の求人を出している企業がありました。また、何か大きなプロジェクトが入って、一時的に仕事量が大きく増えている会社もあるかと思います。また、毎年この時期は忙しい、という繁忙時期が決まっているケースも多いです。人手不足が一時的なものなのか、それが繰り返されるものなのか、によって解決策は変わってきます。
②地域的要因
有効求人倍率を見ても、非常に高い倍率の地域もあれば、比較的低い倍率の地域もあります。都道府県が違えば、最低賃金や勤務条件も違います。店舗や拠点の立地や条件によって、人手不足の度合いや解決策は違ってきます。
③配置的要因
ある部署では仕事量が多いけれど、他の部署は仕事量が落ち着いている、というケース。たとえば、倉庫を持つ物流部門は忙しいけれど、マーケティング部門は時間に余裕があったり。また、複数の事業をおこなっている会社では、事業によって差が生じているかもしれません。あるいは、ベテランは忙しいのに新人は時間を持て余していることもあるかもしれません。
④組織的要因
たとえば、ある部署で定期的に退職者が出たり、なかなか採用がうまくいかないため人手不足になっているケース。また、コロナの影響で従来の働き方やマネジメント手法を見直す必要に迫られている企業もあるでしょう。こういった環境整備が遅れてしまうと、残っている人に負担が掛かってしまい、職場の雰囲気がギスギスしたり、連鎖的に離職がつづいてしまうこともありえます。
以上の4つのうちどの要因で人手不足が起こっていあるのかにより、解決策の方向性も変わってきます。
人手不足を解消する5つの施策
自社の人手不足の要因は何でしょうか?複数の要因が重なっているケースも多いと思います。人手不足の要因がわかると、採用だけじゃない様々な人手不足の解決策がイメージできるのではないでしょうか。厚生労働省も人材確保対策としてこのような特設ページを設け、いろいろな施策を提供しています。
いわゆる新規で採用するマッチング支援の他、雇用管理改善支援、能力開発支援、DX化やオートメーション化による生産性向上、などさまざまな施策がありますね。
ここでは、大きく5つの解決策についてご紹介します。
人手不足解決策①業務の棚卸し
人手不足=必要仕事量>作業可能量、というのが人手不足の根本原因。それならば、受ける仕事量の上限を決めてしまえば人手不足にはなりようがありません。つまり、受ける仕事量を減らせば良いわけです。
そのためには、受ける仕事の基準と断る仕事の基準を決める必要があります。仕事量を減らして、現状の作業リソースに合わせるということです。店舗であれば営業時間を調整したり、広告費やプロモーション費用を抑えることで調整できるかもしれません。
ただ、単純に仕事量だけを減らせば売上や利益も減ってしまいます。仕事量を減らしても、業績を維持できるように、同時に高単価化や高収益化も視野に入れた業務の棚卸しが必要になります。
人手不足解消策②アウトソース
業務を棚卸した結果、やらなければいけない仕事だったとします。しかし、その仕事は自社でやらなければいけない作業でしょうか?外部のパートナー会社さんや外注業者さんに協力してもらったり、業務自体をアウトソースすることもできるかもしれません。
給与計算や経理などのバックオフィス業務、採用代行などを行う会社さんは増えていますね。業務委託やフリーランスとして活躍している方にお仕事を依頼することも考えられます。また、一般的にはアウトソースが難しいイメージのある店舗を持っている会社さんでは、フランチャイズという方法も考えられます。また、多くの営業スタッフを抱えている企業さんでも、代理店契約もできるかもしれません。
自社の業務プロセスを改めて見直し、アウトソースした方が効率が良い部分がないか確認してみることをオススメします。
人手不足解消策③機械化/自動化
なくすことも、アウトソースすることもできない場合にはどうでしょうか?次に考えたいのは、その仕事は人がやらなければいけないか?です。
今まで人がおこなっていた作業を機械に置き換えることで人手不足を解消することができます。コロナをきっかけに、デジタル化やオンライン化が一気に進み、DX(デジタルトランスフォーメーション)も話題になっています。飲食店では、メニューはタッチパネルや配膳ロボットが導入されたり、無人レジなども増えてきましたよね。
ただし、従来の業務を機械化/自動化したり、新たなシステムを導入する場合には、当然初期投資が必要になりますし、社内やお客様の協力も必要不可欠です。また、DXは単なるデジタル化ではなくビジネス自体の変革であるともいわれています。事業全体を見渡せるポジションの責任者がリーダーシップを発揮して、外部の専門パートナーに相談しながら進めることをオススメします。
人手不足解消策④内部調達
なくすこともできず、アウトソースも難しい、機械化もできない。そんな業務はどうでしょうか?新たに人を採用するしかないのでしょうか?
ちょっと待ってください。すぐに外部から新しい人を採用するのではなく、まず社内に適切な人材がいないか確認してみましょう。
複数地域で拠点展開している場合には、同じポジションの人に転勤をしてもらうことが考えられるかもしれません。また、営業職からマーケティング職への異動といったジョブチェンジを行うというのはどうでしょうか。
いわゆる内部調達を通して新しい職場に就いた人は、既に自社のビジネスや仕事の進め方に対して理解があります。社内の雰囲気にも馴染んでいるため、新規で採用するよりもスムーズに結果を出せる可能性が高いです。
もし部署間での異動やジョブチェンジ、社内公募が可能な状況であるなら、人手不足解消のため内部調達を検討してみてはいかがでしょうか。もちろん、本人の希望や適性を考えた上で行わないとトラブルや、逆に生産性を下げる要因にもなりかねませんので従業員への説明と配慮も必要になります。
人手不足解消策⑤生産性の向上
なくすこともできず、アウトソースも機械化もできない、社内に適切な人材がいないときは、、、さすがに採用が必要。。。
とは限りません。
生産性を上げることで、今の人員体制で業務をこなせるようにはできないでしょうか。もちろん、働き方改革が叫ばれるなか、過度な残業や休日出勤をしてもらってまで仕事をするわけにはいきません。たとえば、今まで1つの業務を専門で行ってもらっていたメンバーに兼務で他の業務を任せたり。あるいは、業務の進め方を見直して他の人でもできるようにしたり。研修をつうじてメンバーのスキルを上げることで、量的にも質的にも、今より多くの業務をこなせるようになってもらえるかもしれません。
厚生労働省の人材確保の施策でも、教育や研修など人材開発を支援する助成金も用意されていますので、活用できるものがないか確認してみても良いかもしれません。ただ、これも部署異動や転勤と同様、本人の働き方や希望を考慮したうえで、条件なども含めて話しあいながら進める必要があることは言うまでもありません。
まとめ
日本全体が人手不足の時代に向かっているなかで、人手不足解消を採用だけに頼るのは難しくなっていきます。
人手不足になったら、まずその要因を分析してみましょう。時期的なものか、地域的なものか、配置的なものか、組織的なものか。
その上で、5つの質問を投げかけてみましょう
- 仕事を減らすことはできないか?
- 自社でやらなければいけないか?
- 機械化/自動化はできないか?
- 配置転換や異動はできないか?
- 抜擢や育成で解決できないか?
この5つの質問に答えても「難しい…」ということであれば、そこではじめて新規の採用を検討すれば良いのです。
その時は、私たちのような人材会社が採用のお手伝いをさせていただきます。
しかし、苦労して無事に入社してもらえても、不本意な離職が多ければ、いつまで経っても人手不足の状況は変わりません。採用の前に、今いるスタッフに長く働いてもらって、一定以上の定着率を維持できるような組織をつくる必要があります。
人手不足にお悩みの会社さんは、新しい人を増やすだけではなく、今いる人たちがより長く、イキイキと働いてくれる職場づくりも同時に進めていきましょう。
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