無料で使えるハローワーク有効活用のコツと求人票の書き方をまとめました
全国には544箇所のハローワーク拠点があり、16,258人の相談員の方が日々お仕事を紹介されています。事業所登録をされている企業であれば、どんな会社でも無料で求人を出せるハローワーク。
でも、実際にハローワークを採用戦略として有効活用できている会社は意外と少なかったりします。
「そういえば、ハローワークって使ったことないな…」
「求人票のフォーマットが変わってから行ってない…」
そんな経営者・人事ご担当者の方に向けて、改めてハローワーク求人の効果的な出し方やハローワーク活用のコツについてご紹介します。
はじめてハローワークに掲載される方でもわかるように、ひととおりの情報を掲載していますので、けっこう長いです。すでにハローワークに掲載されている方は、必要そうな部分だけお読みください。
そもそもハローワークでホントに採用できるのか?
「以前ハローワークに求人を出してたけど採用できなかった…」
「地方の企業は良いけど、都市部では難しいんじゃない?」
そんな声もよく耳にしますが、そもそもハローワークに力を入れる必要はあるんでしょうか?
ふと疑問に思って厚生労働省が発表している数値を調べてみると…
2018年の求人掲載数は1039万件と1000万件を超えています。直近はコロナもあり多少減っていることが予想されますが非常に多い件数です。
職種別で見ると介護職の募集が90万件、販売職が80万件、次いで事務職の74万件と多くの求人が掲載されていますね。そして、気になる採用実績は…
年間で146万件の紹介実績があります。これは民間の職業紹介事業者の実に2倍。
もしハローワークを有料の職業紹介会社と考えた時に、1人あたりの平均紹介料を60万くらいとすると、60万✕143万人=8700億円以上の売上規模の人材エージェントみたいなもの。
これだけの実績を持つ無料の採用エージェントを使わないなんてもったいないですね。
ハローワークへの求人掲載手順
ハローワークに求人を出すためには大きく2つの方法があります。
- 管轄のハローワークに出向いて、パソコンまたは求人申込書で求人申込み手続きを行う
- 事前にパソコンで求人情報を仮登録してから、ハローワークに出向いて窓口で本登録する
今までは、①の紙の求人申込書に手書きで記入するという方法しかなかったため、求人掲載数が多い企業の担当者はとても大変な思いをされていました。これができずハローワークに掲載していなかったという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、2020年1月6日にハローワークインターネットサービスが大きくリニューアルした結果、インターネット上からの求人申し込みが簡単にできるようになりました。今後、ハローワークを積極的に活用するならば、是非求人者マイページを開設し、パソコンから求人情報を入力できるようにしておきましょう。
もしハローワークに何らかの理由で訪問される予定がある場合は、ハローワーク内の端末や手書きの申込書でも開設することは可能です。
▼ハローワークインターネットサービス利用の流れ
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/enterprise/job_offer01.html
ただし、以下の7つに当てはまる事業所の方は最初だけ管轄のハローワークに行く必要があります。
- 初めて求人者マイページから求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、初めて障害者専用求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、初めてトライアル雇用求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、初めて障害者(短時間)トライアル雇用求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、過去1年間に求人を申し込んでいない場合
- 派遣・請負求人の場合
- その他、ハローワークが必要と認める場合
求人者アカウントを開設した後、ハローワークに求人だすためには、事業所登録・求人票登録の2つの作業を行う必要があります。
採用ホームページや求人広告と同じで、これらの登録項目の内容をいかに魅力的な文章で表現するかによって応募効果が変わってきます。次に事業所登録と求人票登録の主な項目の書き方についてご紹介します。
ハローワーク求人票の見方
以前は求人票は1枚だけだったのですが、法律改正で項目が増えたり、リニューアルもされた結果現在2枚組になっているんですね。それでは、まず事業所登録の書き方(パソコンでの入力をオススメします)についてのポイントをご紹介します。
ちなみに、パソコンから入力する場合、一定時間が経過すると自動的にログアウトしてデータが消えてしまうということが起こりやすいので、まず手元にデータで入力する内容を用意しておくことをおすすめです。
事業所登録に入力する
全体的な書き方についての説明は、ハローワークインターネットサービスの中に案内がありますのでこちらをご確認ください。
▼事業所登録申込書テンプレート(紙で書く方はこちらからダウンロードできます)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/jigyousyotourokusi-to.pdf
準備ができたら、事業所情報で応募効果に影響があるものについて説明していきますので、順番に入力していきましょう。
・最寄り駅(28文字×最大3つまで)
駅が最大3つまで登録できますので、ネット検索での発見性を高めるためにも3つ登録するのがオススメです。複数の路線がある場合には、28文字の範囲内で路線名も入力することで求職者に伝わりやすい内容になります。
・事業内容(30文字×3行)
自社が何をやっている会社なのかを「求職者の目線で」入力していきます。たまに見掛けるような登記簿の定款に書いてあるものをそのまま入力してはもったいないですね。取り扱いブランド、店舗などの屋号、実績や店舗数などアピールできるものがあれば90文字以内で入力していきます。
・会社の特長(30文字×3行)
自社の強みや競争優位性、他社と差別化できるようなオリジナルの情報を入力します。例えば、社長様の想いやこれまでの沿革、これから将来に向けたビジョン、など求職者の方が心惹かれるようなアピールポイントを自社ならではの言葉で表現していきましょう。
・事業所に関する特記事項(24文字×3行)
基本的には定年や再雇用制度などの詳細条件などを記載するための項目なのですが、読んだ方に職場のイメージが伝わるような事業所の雰囲気や働いている方の入社のきっかけなどがを記載しても面白いかもしれません。
ここまでが求人票に記載される事業所情報なのですが、実はインターネット版での検索時に公開される事業所PRの項目もありますので、こちらもできる限り有効活用するようにしましょう。
・福利厚生(30文字×17行)
いわゆる福利厚生についての表記です。社員食堂や休憩室がある場合には設備やメニューについて、サークル活動・社員旅行などの社内行事についての説明や、社員割引・健康診断、自社オリジナルの取り組みなどをもれなく記載していきましょう。
・研修制度(24文字×6行)
研修制度についての144文字まで入力できます。こちらは文字数が少ないので、大まかな入社後からの流れについて時系列で書いていくとわかりやすくなります。特に未経験での入社が多い場合には、詳しく書いておくと効果的です。
・両立との支援(30文字×17行)
育児や介護などご家庭の都合や病気をかかえている方向けの配慮があれば記載する項目となっています。おそらく多いのはパートタイムの募集で主婦(主夫)の方を対象として募集される際に、お子さんの保育園の送り迎えや急なお休みに対する柔軟なシフト変更、扶養内勤務・時短勤務などについてだと思いますので、そのような募集が多い事業所では丁寧に記載すると好印象ですね。
・画像登録(10枚まで)
ハローワークの求人票には画像がないんですが、インターネット版には10枚まで画像を登録することができます。しかも1枚につき30文字まで説明文が入るなんて気がきいてますね。いままで事業所の魅力や雰囲気を一生懸命文章で入力していただいたと思うのですが、写真があった方が伝わると思うものについては画像を登録しましょう。説明文も忘れずに入力するのがポイントです。サイズは横幅280px×高さ160pxですね。
パソコンからの事業所登録はあくまで仮登録という扱いとなりますので、14日以内に管轄のハローワークへ行き本登録を済ませましょう。
求人票を書く
事業所登録が完了したら求人情報、求人票の入力が必要となります。こちらもハローワークインターネットサービスの中に、書き方の案内があるのでこちらをご参照ください。
▼求人票申込書テンプレート(こちらからダウンロード可能です)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kyuujinnmousikomisyo.pdf
求人情報についても応募効果を上げるために力を入れたい項目がありますので、そちらについて説明していきます。
公開希望
公開希望の項目には1~4までの選択肢があります。その中で「1:事業所名等を含む名称を公開」を選択するとハローワークネットの他、いくつかの求人メディアに転載されたりもするため多くの求職者に見られる可能性が高まります。
職種(28文字)
求人情報の中で最も大切なのが職種です。まず職種名を求職者にも伝わりやすい言葉で書き、その後ろにちょっとしたメリットなどを記載しておくのがオススメです。ハローワークネットや上記転載先の求人メディアでも、検索結果一覧画面には職種名が大きく表示されます。
そして、もう1つ職種分類の設定を忘れずに行いましょう。最大3つまで任意で設定でき、これがハローワーク求人検索時の職種検索設定にもなりますので、正しく設定することで発見率が高まります。逆にここの設定がされていないと、せっかく力を入れて書き上げた求人票が見てもらえない可能性もあります。
仕事の内容(30文字×12行)
職種に続いて大切なのが仕事の内容です。ハローワーク利用者アンケートでも、仕事の内容を重視するという声が最も多いという結果が出ています。
仕事の内容の中で特に詳しく記載して欲しいものとして、
- 具体的な業務量
- 未経験者が仕事を覚えるまでの期間
- 最初に覚える仕事
などが上位にランクインしていますね。
360文字まで入りますので、いわゆるジョブディスクリプションを書くつもりで、入社後にどのように仕事を覚えていくのか、1日の仕事の流れや将来期待したいことなで、詳しく書いてみましょう。特にインターネットでフリーワード検索する求職者を意識して、仕事の内容に意識して検索されそうなキーワードを含むようにするだけでも発見率・応募率も変わってきます。
就業場所
事業所登録住所と同じ場合は問題ないのですが、就業場所が異なる場合には入力が必要な項目となります。また、在宅勤務となる場合には、その旨選択する必要があります。就業場所の項目の中で注意しておきたいのが屋内の受動喫煙対策についてです。2020年1月より明示が必要となっていますので、該当する求人の場合には忘れず記入をしましょう。
必要な経験等
多くの会社さんでは間口を広げるために「不問」を選択してしまいがちですが、できれば「あれば尚可」を選択して「必要な経験・知識・技能等詳細」に90文字で具体的な内容を書いておくことをオススメします。どんな人物を求めているかがイメージしやすくなりますので、マッチング率を高めるためにも効果的です。
賃金
お給料は誰もが気になる項目ですので特に注意して入力しましょう。特に求職者が知りたいのは、「自分が実際にいくら貰えるのか?」ということです。手当などが細かく設定されている場合には詳細を入力し、その他の手当等付記事項のところに、実際の月収例やモデルケースを記載するとイメージしやすくなります。
就業時間
最近では給料よりもワークライフバランスを重視して仕事を探す求職者も増えています。そのため就業時間の記載はとても重要です。基本の就業時間は3つまで設定できますが、就業時間についても特記事項を入力することができるようになっていますので、シフトを提出する頻度や実際のシフト例などを書いておくとわかりやすくなります。
選考
選考の項目では、選考方法や選考場所について入力します。ここはそのまま書いていけばよいのですが、一点最近増えているオンライン面接などを実施する場合には、選考に関する特記事項の欄に使うツールや選考のポイントなどを書いておくとわかりやすいかと思います。
事業所からのメッセージ(600文字)
事業所からのメッセージは求人票には記載されず、ハローワークネットや窓口で配布される事業所・求人PRに記載される項目です。求人メッセージの名のとおり、社長や事業所の責任者、先輩社員から求職者に向けたコメントを記載します。会社や事業所、職場の魅力をしっかりアピールした内容を考えて入力していきましょう。600文字も入るなんてすごいですね。
求人に関する特記事項(600文字)
最後に求人に関する特記事項という項目があります。この項目は600文字というボリュームがあり、求人票の2枚目にも大きく記載されます。ここには、求人票の中に書きれなかった会社や仕事の魅力を書いていきます。オススメは、仕事内容や福利厚生に書ききれなかった条件の詳しい補足や、求職者からよく寄せられる質問と回答、ホームページや採用ページのURLなどが良いかと思います。
これで事業所登録と求人情報の登録は完了しました。お疲れ様でした。
ただし、繰り返しになりますが、以下の7つに当てはまる事業所の方は最初だけ管轄のハローワークに行く必要があります。
- 初めて求人者マイページから求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、初めて障害者専用求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、初めてトライアル雇用求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、初めて障害者(短時間)トライアル雇用求人を申し込む場合
- 2020年1月以降、過去1年間に求人を申し込んでいない場合
- 派遣・請負求人の場合
- その他、ハローワークが必要と認める場合
求人を出した後、紹介希望者がいた場合にはハローワークから連絡が来るようになっています。また、選考後、採否の結果もハローワークに返答する必要があります。求人者マイページがあれば、それらの連絡もすべてページ内で行うことができますので、良い方との出会いがあることを期待して待ちましょう。
ハローワークの効果をさらに上げる5つのコツ
ここまでハローワークでの事業所申し込み、求人申し込み書の書き方・入力のポイントについて説明してきましたが、最後にハローワークを更に徹底的に活用されたい方のために、5つのコツをご紹介します。
ハローワーク活用のコツ①求人を分けて掲載する
求人票を出す時に、経験者向けと未経験者向け、日勤と夜勤など、同じ職種でも条件や仕事内容が変わる可能性があるものについては、求人を分けて掲載することがオススメです。候補者のターゲットに合わせた書き方ができますし、インターネット検索での求人数が増えて検索発見率が上がるというメリットもあります。Indeedなどの求人検索エンジンなどと同じ考え方ですね。
ハローワークのコツ②文字数・内容を充実させる
自社ホームページや求人広告に掲載する際には、取材やインタビューをして自社の仕事やスタッフの魅力を引き出した内容で掲載しますよね?ハローワークに求人を出す時も考え方は同じです。無料なのでついつい「こんなもので良いかな」となってしまいがちですが、求人票やネットの求人情報を見て応募してくるという意味では求職者にとって非常に大切な情報ですので、徹底的にこだわりましょう。
ハローワーク活用のコツ③ネットの公開範囲を1にする
これは事業所登録の入力の際にもご説明しましたが、ハローワークで事業所名などを公開しておくと、様々な求人メディアに貴社の求人が転載されることになります。しかもそれに関わる費用は一切掛かりません。その可能性を自ら狭めてしまうのは非常にもったいないですよね。最近ではパソコンやスマホで仕事を探す求職者の方が増えていますので、少しでも見てもらえる導線を増やすことが効果的です。
さらにさらに、令和3年9月21日からはオンライン自主応募機能が搭載されました。この機能を使うとハローワークを経由せずに直接ネット上から応募受付を行うことができます。もはや求人メディアですね。
ただし、助成金の受給を予定している会社さんは対象となりませんのでご注意ください。
ハローワーク活用のコツ④オンラインだけでなくオフラインも
ハローワークインターネットサービスがリニューアルしてから、ネットでの求人入力や更新が非常に便利になりました。しかしながら、ネットだけではなく実際にハローワークの窓口で相談員の方を通じて紹介される方も多数いらっしゃいます。また、事務所内の掲示板に求人を貼ってもらったり、少しでも採用に協力してもらえるよう、窓口の方との関係性を築くのも大切です。学校訪問のようなイメージで、定期的にハローワークを訪問されてみるのも良いのではないでしょうか?
ハローワーク活用のコツ⑤関連サイトへの求人出稿
厚生労働省ではハローワークネットとは別に運営管理している企業向けサービスがあります。
その一つがこちら、
▼しょくばらぼ
https://shokuba.mhlw.go.jp/index.html
しょくばらぼは、定着率や採用実績など様々な企業の職場情報を検索、比較できる職場比較サイトです。まだそれほど認知度は高くありませんが、転職クチコミサイトなどの利用者数が徐々に伸びてきている中、こういったサイトの需要が高まってくる可能性がありますので、ハローワークと合わせて掲載を検討されてみてはいかがでしょうか?
お伝えしたいこと
ここまでお読みいただきありがとうございました。(求人票を記入された方はお疲れさまでした)
あとは応募が来るのを楽しみに待つだけですね!
「ハローワークで効果的な求人を出すためには色々とやることがあって大変だな…」
と感じた方もいらっしゃるかもしれません。そんな人事、経営者の皆様にオススメの方法があります。
まず、自社の採用ページをIndeedなどに対応させた上で内容を充実させみましょう。そして、その情報をハローワークネットに転載していきます。Indeedや広告代理店には専門知識を持った担当がいますので、その知見を借りて求める求職者に対しての効果的な求人ページを作りましょう。そうして完成した採用ページは資産として残りますので、ハローワークだけではなく自社の採用力を高める上でも非常に効果的です。
是非ハローワークを有効活用して良い人材の採用できる体制をつくっていきましょう。
▼ハローワークの求人票を活用してHRハッカーでさらに多くのメディアに拡散しましょう