会津の地で受け継ぐ酒造りの未来。髙橋庄作酒造店が実現した、理念と実態が伝わる採用活動

明治初期の創業以来、会津の地で酒造りを続ける髙橋庄作酒造店。自社田での米作りから一貫した酒造りを行い、独自の働き方改革も実践する同社は、2024年、採用活動のデジタルシフトに着手。採用サイトの構築により、新たな一歩を踏み出しました。

これまで求める人物像に合う応募者との出会いが限られていた同社は、HRハッカープラスの導入により、募集開始からわずか10日ほどで予定の6倍となる応募を獲得。8時間勤務・残業なしなど、酒蔵ならではの独自の働き方や企業理念を効果的に発信することで、より適切な人材との出会いを実現しています。

今回は6代目蔵元の髙橋亘さんに、採用活動の変革と、そこから見えてきた可能性についてお話を伺いました。

▼抱えていた課題
・求める人物像に合う応募者との出会いが限定的だった
・専門学校や縁故での採用に頼らざるを得ない状況が続いていた

▼導入後の効果・成果
・2名募集に対して12名の応募を獲得、従来の1/3の期間で約2倍の応募数を実現
・採用情報の言語化により、社内の評価基準としても機能し、組織の成長にも寄与

6代目蔵元 髙橋 亘(たかはし わたる)さん
1972年生まれ。東京農業大学農学部醸造学科卒。都内地酒専門店・茨城県酒蔵での修行を経て、1996年髙橋庄作酒造店へ。2000年頃からすべての自社田での酒米作りにも着手。2019年髙橋庄作酒造店法人化、代表取締役就任。2019年より、「一田一醸」をテーマに会津娘「穣」シリーズを展開。米作りから携わる酒造りの未来を模索している。

目次

理念や実態をきちんと求職者に伝える採用活動が必要だった

──まず御社の事業内容について教えてください。

弊社はもともと農業を営んでいたのですが、明治の初めから酒造業を始めました。現在は会津若松市門田町で、自社田での米作りから酒造りまでを一貫して手がけています。「会津娘」というブランドで特定名称酒を製造していますが、これは父の代で普通酒から特定名称酒への転換を決断し、その際に中心銘柄として据えたものです。

酒造りは基本無休で、9月の仕込みから翌年5月の田植えまで、約9ヶ月間は昼夜を問わない作業が続くのが業界の普通とされています。ですが「酒造りだからしょうがない」という意識はなくしたいと考え、8〜17時の残業なしで、休日もきちんととれる環境づくりを進めてきました。その結果、年間残業時間は1時間程度に抑えられています。

──インビジョンと出会う前は、採用活動においてどのような課題を感じていましたか。

比較的ありがたいことに、応募自体は募集の度にいただくのですが、酒造りという特殊な仕事に携わりたいという想いを持った方、私たちが求める人物像に近い方との出会いが限られていました。そのため、専門の学部を持つ大学からの採用や、これまでの縁故からの推薦に頼らざるを得ない状況が続いていたんです。

技術を継承し、長く一緒に働いていける方との出会いを求めていましたので、応募者の数を増やすことよりも、私たちの理念や実際の働き方をしっかりと伝えられる採用活動の仕組みづくりが必要だと感じていました。

採用サイトを制作する過程で求める人物が明確に。思わぬ副産物も

──HRハッカープラスを導入し採用サイトをつくろうと決めた経緯を教えてください。

新聞社の方から紹介いただき、インビジョンの担当者と出会ったのがきっかけです。採用に関する悩みを何度も丁寧にヒアリングしていただき、徐々に本質的な課題が見えてきました。

改めて自社のホームページを見てみると、採用情報がほとんど掲載されていなかったんですよね。それでは、どういう人材を求めているのか、応募を考えている方に伝わるはずがありません。

でも、ただ採用情報を載せるだけではなく、私たちがどういう事業をしているのか、どういう働き方をしているのかまで、一緒に掘り下げて考えていきましょうと提案していただきました。

──実際にどのように活用されていますか。

採用情報と会社の事業案内として活用しています。特に事業内容を紹介するページへのアクセスが多く、私たちの仕事や想いを知っていただくためのエントリーポイントとして機能しています。

グーグルアナリティクスでアクセス解析もできるので、どのページが一番見られているか、私たちが伝えたい情報がちゃんと届いているかを確認しながら、掲載内容を適宜見直しています。例えば、アクセスの多いページに伝えたい情報を集中的に配置したり、他のページへのリンクを工夫したりといった改善を続けています。

──採用サイトの制作過程では、どのような気づきがありましたか。

インビジョンのスタッフの方々が私たちにヒアリングをする中で、自分たちでも言語化できていなかった求める人物像が、徐々に明確になっていきました。それが一番のメリットだったと思います。また、スタッフへのインタビューを通じて、普段の仕事では話す機会の少ない、それぞれの想いや課題についても話し合える機会になりました。

また、現場では個々の作業について話すことはありますが、キャリアの展望や課題について全員で話し合う機会はなかなかありません。採用サイトの制作過程で、そういった対話の場が自然と生まれたことは、とても良かったと感じています。

新しい採用サイト効果、応募の質と量が向上

──採用サイトの公開後、具体的にどのような成果が得られましたか。

当社が希望する時期に合わせて採用サイトを公開したところ、従来の3分の1の期間で約2倍の応募をいただきました。具体的には2名の募集に対して12名の方から応募があり、そのうち8〜9名の方と実質的な選考に進むことができました。

ですが、応募数の増加以上に大きかったのは、私たちの求める人物像により近い方々からの応募が増えたことです。採用サイトで事業内容や働き方をしっかりと伝えられるようになったことで、酒造りへの理解や共感を持った上での応募が増えたと感じています。

──応募が短期間に集中したことで、現場の負担は増えませんでしたか。

採用サイトを通じて私たちの考えが事前に伝わるようになったことで、むしろ面接などでの相互理解がスムーズになりました。また、HRハッカーのおかげで応募者の情報管理や進捗管理も効率的に行えています。

──採用サイトの制作を通じて、予想外の効果はありましたか。

採用サイトを作る過程で、現在働いているスタッフの評価基準も明確になったことですね。「髙橋庄作酒造店ではどういう人材を求めているのか」「どういう人を評価するのか」という社内基準としても機能していて、それは私たちにとって大きな収穫でした。

また、トヨタ自動車株式会社が福島県と連携して行ったプロボノ活動の受入れと時期が重なったのですが、どちらの取り組みでもスタッフへのインタビューや対話の機会があり、相乗効果が生まれたと感じています。

普段の仕事では全員で集まって何かを突き詰めて話す機会は少ないのですが、これらを通じて、スタッフ同士のコミュニケーションも活性化されたと感じています。

結果として、採用活動の改善だけでなく、組織の活性化にもつながりました。

“生きた”情報を大事にするため、アップデートを続ける

──採用課題を解決するために、他にどのような取り組みをされましたか。

採用情報の整理と掲載はもちろんですが、現在のスタッフ体制の長所・ウィークポイントの確認も行いました。また、ハローワークでの求人を一旦休止し、大学とホームページからの募集に絞ることにもしましたね。採用サイトからの応募が多かったので、この変更は効果的だったと思います。

──今後の採用活動について、どのようなビジョンをお持ちですか。

採用情報は生きている情報だと考えています。

インビジョンのスタッフの方に丁寧に教えていただいたおかげで、サイトの更新や編集を自分たちでも行えるようになりました。今後は採用情報の整理と掲載、事業情報のアップデートを継続的に行っていきたいと思います。

また、私だけでなく、スタッフの中から採用に関わる人材も出てくると考えています。そのための土台づくりという意味でも、今回の採用サイト制作は良い機会になりました。

──今後、インビジョンのサポートに期待することはありますか。

他社の活用事例や様々な事例を、今後も教えていただきたいですね。同業以外の会社の取り組みというのは、なかなか聞く機会が少ないものです。

採用に関してでも、人事評価の部分でも、インビジョンさんは私たち以上に多くの情報をお持ちだと思います。今回の採用課題は一つ解決できたかもしれませんが、新しい課題は必ず出てきます。そういうときにアドバイスをいただけると大変ありがたいですね。

取材協力
株式会社髙橋庄作酒造店
6代目蔵元 髙橋 亘(たかはし わたる)さん

HP:https://aizumusume.co.jp/
採用情報:https://aizumusume.hr-hackerplus.com/

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